■屋内消火栓設備の設置要件
消防法により、すべての消防用設備には設置が義務となる要件が定められており、屋内消火栓設備については以下のとおりとなっております。
〇設置義務の有無について
以下の表から、管理している防火対象物の用途を参照し、延べ面積が、設置基準に記載されている面積以上であれば屋内消火栓設備を設置する義務が発生します。
用途が不明または判別困難な場合には、通常、事業開始時に消防機関が令別表第1欄に記載されている「⑴項イ」等の項判定を行っていますので、事業開始時の消防関係提出書類等の控えで確認することができます。
■屋内消火栓の構成と役割
屋内消火栓設備は、火災時に人の力で消火するための設備で、消火器よりも消火能力が高く非常に効果的な消防用設備です。
ただし、人力であるがゆえに正しい取り扱いをしなければ放水圧力の高さから危険が生じることもあり、定期的な訓練を必要とします。
1号消火栓は原則2人操作となっており、倉庫や工場での火災など大量の放水が求められる場合に使用されます。
2号消火栓は、夜間等の勤務人員が少人数である場面でも有効に消火ができるよう、1号消火栓に比べ放水圧、放水量が抑えられ、1人でも操作が可能なものになっています。
消火のための水量の計算式も規定されておりますが、時間に換算すると放水時間はおよそ20分以上放水を継続できる量となっております。
また、火災による停電時にも有効に作動するよう非常電源も設けられており、30分以上運転を継続できる容量が求められています。
長い間運転させることなく放置した場合、ポンプや配管内部にサビが蓄積し、配管に亀裂が生じたり、ポンプの軸部分が固着してしまうことにより、使用不能となってしまう場合があります。
そのため、定期的に放水試験を行ってサビを除去する必要があります。
〇1号消火栓
原則2人操作。
※ノズルに開閉装置が無いため、バルブの開放で放水が開始される
☆使用方法
⑴上部の押しボタンの操作により消火ポンプを起動
⑵ホースを外す
⑶1人がノズルを持ちホースを伸長し、放水準備を整える
⑷もう1人が箱内のバルブを開放する
⑸目標物に放水する
〇2号消火栓
1人操作が可能であり、ホテル、社会福祉施設等で夜間等の少人数体制下が想定される場合に使用されている。
※ノズルに開閉装置があるため、ホース内に充水しても手元で放水のタイミングを任意に操作可能
☆使用方法
⑴箱内のバルブを開放すると消火ポンプが起動する
⑵ノズルを持ちホースを伸長する
⑶目標物に放水する
〇消火ポンプユニット
ポンプ、電動機、配管、制御盤、計器などで構成される
・1号消火栓の能力
ノズル圧力0.17MPa以上
放水量130L/m以上
・2号消火栓の能力
ノズル圧力0.25MPa以上
放水量60L/mル以上
★屋内消火栓設備が設置されていない、又は機能不全に陥っている場合
屋内消火栓設備が未設置である場合又は故障等により正常に作動しない場合、消防法上「重大な法令違反」というものに該当します。
その場合、特に特定用途防火対象物では消防本部のホームページ等に法令違反である旨が記載され、広く国民に周知されることになっています。
法令違反であることが公表されてしまうと、そこに出入りする従業員や利用者などすべての人に不安を与えることになりますし、何より危険な状態を放置したまま事業を継続してはいけません。
「重大な法令違反」は行政処分の対象となり、防火管理義務違反と消防用設備等設置義務違反の二重違反となりますので、適正な維持管理が求められます。