■消防機関へ通報する火災報知設備の設置要件

消防法により、すべての消防用設備には設置が義務となる要件が定められており、消防機関へ通報する火災報知設備については以下のとおりとなっております。


〇設置義務の有無について

 以下の表から、管理している防火対象物の用途を参照し、延べ面積が、設置基準に記載されている面積以上であれば消防機関へ通報する火災報知設備を設置する義務が発生します。
 用途が不明または判別困難な場合には、通常、事業開始時に消防機関が令別表第1欄に記載されている「⑴項イ」等の項判定を行っていますので、事業開始時の消防関係提出書類等の控えで確認することができます。

■消防機関へ通報する火災報知設備の基準
 
 長い名称なので、略して「火通(かつう)」や「通報装置」と呼ばれたりもします。
 本体には電話線が接続されていて、直接119番へつながるようになっています。
 起動させると自動で発信し、あらかじめ登録されている音声によって自動通報される仕組みです。
 また、119番以外にも防火対象物の関係者に電話がつながり、同様の音声により火災の事実を知らせる機能も備わっています。

 登録されている自動通報の内容は、
 ・所在地
 ・防火対象物名(事業所名)
 ・電話番号
 です。

 自動通報が終了すると、消防機関の通信指令室から火災の事実確認のため、通報装置に呼び返しがあります。
 
※火災ではないとき(誤って起動した場合)
 通報装置の電話に出て、落ち着いて火災ではないことを伝えれば問題ありません。

※火災のとき
 通報装置の電話に出なければ、消防機関が火災と判断して消防車を出動させます。
 火災であった時でも、余裕があれば応答し、出火場所や避難の状況などを伝えると消防隊の活動がスムーズになりますが、出火場所が近い場合には建物から避難した後に携帯電話などで通報したほうが安全です。

■消防通報の内容
 通報装置の呼び返しに答える場合であっても、一般電話からの通報であっても、通信司令員と交わす内容は以下のとおりです。
 ・建物所在地
 ・防火対象物名
 ・出火場所(○○室など)
 ・燃えている対象(コンロなど)
 ・避難の開始状況
 ・けが人、逃げ遅れの有無
 ・通報者の氏名
 ・通報者の電話番号
 などです。

操作方法

・左側の本体の右上にある「119番通報」と書かれたボタンを押すか右側の受話器の右下にあるボタンを押す(どちらでも起動する)
・自動発信と音声による自動通報が開始される
・消防機関の通信指令室から呼び返しの電話が鳴る
※火災ではないときは応答してその旨を伝える
※応答しなければ火災と判断され、消防車が出動する

■電話回線について

 従来の通報装置は使用する電話回線をアナログ回線としなければなりませんでした。
 また、火災通報専用としなければならず、会社などの代表電話番号とは別に通報装置に独立した電話番号を付けなければなりませんでした。

 近年、様々な電子機器等がデジタル化されており、電話回線についてもデジタル回線の普及が進んだことで従来の機器では正常に作動しない事象が発生しました。

 具体的には、
 ・起動後119番に接続され、本体では自動通報が開始されているが、通信指令室には音声が届いていない。
 ・通信指令室からの呼び返しが通報装置に到達しない。
 
 など、アナログとデジタルの信号の違いによる通信障害が多数報告されています。

 アナログ回線を残さずに建物全体の電話回線を光回線に変更してしまったという原因がほとんどでした。
 通報装置については、デジタル回線の普及を見込んで平成28年に新基準が公表され、機器メーカーはそれに対応した製品を製造していたのですが、機器が未対応のまま回線のみを変更してしまったということです。
 「平成28年4月改正告示適合品」のラベルが貼り付けられている通報装置はデジタル回線に対応していますので問題ありません。

平成28年告示適合品である旨の表示
※デジタル回線対応

通常本体正面に貼り付けられています。

 NTTから、2024年をもってアナログ回線はIP網へ移行する旨の発表がありました。
 アナログ回線が廃止されてもこれまでと同様に電話の使用は可能とのことですが、未知の不具合の発生が見込まれますので、平成28年以前の旧基準の通報装置を設置している事業所では早急に対策をする必要があります。