■自動火災報知設備の設置要件
消防法により、すべての消防用設備には設置が義務となる要件が定められており、自動火災報知設備については以下のとおりとなっております。
〇設置義務の有無について
以下の表から、管理している防火対象物の用途を参照し、延べ面積が、設置基準に記載されている面積以上であれば自動火災報知設備を設置する義務が発生します。
用途が不明または判別困難な場合には、通常、事業開始時に消防機関が令別表第1欄に記載されている「⑴項イ」等の項判定を行っていますので、事業開始時の消防関係提出書類等の控えで確認することができます。
■自動火災報知設備の構成と役割
自動火災報知設備は以下の機器により構成されています。
☆受信機
・本設備の心臓部となる機器。
・火災感知した場所の表示、音による周知、誤作動時などの復旧などすべての操作を司る。
・警備会社等への移報システムも受信機内に構成される。
・主に出火エリアを示すP型と、出火場所を示すR型が存在する。
・ガス漏れ警報設備を併用するGP型、GR型が存在する。
・大規模な防火対象物ではR型が採用される。
・耐用年数は15年。
☆感知器
・各居室、通路、階段、物置など防火対象物のすべての場所に設置され、火災発生時の熱または煙により感知し、受信機へ信号を送る。
・熱感知器は周囲の温度が一定温度に達した場合に感知する定温式スポット型感知器と、急激な温度の上昇が認められた場合に感知する差動式スポット型感知器がある。
・煙感知器は煙が受光部を通過する際に生じる光の乱反射を感知し、その感度により第1種から第3種まで規格されている。
・工場や倉庫などの大規模な空間では、天井面に空気管を設置し、熱を受けた場合の管内の空気の膨張を検知し作動する差動分布型感知器(空気管式)が採用される。
・耐用年数は10年。
☆発信機
・感知器による自動感知を待たずとも、手動により火災報知設備を作動させるための機器。
・赤い表示灯と押しボタンにより構成される。
・ベルを内蔵したものを「総合盤」と呼ぶ。
・通常、感知器が作動した場合は誤作動の可能性も考慮し、蓄積時間というものが設けられており、温度変化等が一定時間以上継続しなければベルは鳴動しないこことされているが、発信機の場合は人の目視により火災が発見されているため、押しボタンの操作により直ちに火災報知設備が起動し、ベルが鳴動する。
・耐用年数は20年。
☆地区音響装置(ベル、スピーカーなど)
・火災報知設備の作動とともに建物内のベル、サイレン、音声などを鳴動させ、建物内にいる者に火災の事実を周知する機器。
・耐用年数は20年。
■自動火災報知設備の作動について
自動火災報知設備は、その名のとおり自動で火災を知らせる設備です。
消防用設備の分類上、警報設備に該当します。
機器が有効に作動するためには、感知器が定期的にメンテナンスされ、常に敏感な状態を維持しておかなければなりません。
火災の事実がなく自動火災報知設備が作動することを「非火災報」と呼びます。
「誤発報」や単に「誤報」と呼ばれることもありますが、確かに誤作動によるものなのかをきちんと調査しなければなりません。
また、本当に「非火災報」であったならば、原因を調査して設備の適正な状態の維持に努めなければなりません。
異常な状態を放置し、逆に本来の目的である火災感知が正常に行われなかったとなれば、初期消火や避難に遅れが生じることとなり、その被害は計り知れないものになるでしょう。
自動で作動するものだからこそ、定期的なメンテナンスは非常に重要なものになります。
★自動火災報知設備が設置されていない、又は機能不全に陥っている場合
自動火災報知設備が未設置である場合又は故障等により正常に作動しない場合、消防法上「重大な法令違反」というものに該当します。
その場合、特に特定用途防火対象物では消防本部のホームページ等に法令違反である旨が記載され、広く国民に周知されることになっています。
法令違反であることが公表されてしまうと、そこに出入りする従業員や利用者などすべての人に不安を与えることになりますし、何より危険な状態を放置したまま事業を継続してはいけません。
「重大な法令違反」は行政処分の対象となり、防火管理義務違反と消防用設備等設置義務違反の二重違反となりますので、適正な維持管理が求められます。