数ある消防法の条文の中でも、防火対象物の維持管理に深い関わりを持つのは主に消防法第17条と第8条、そして火災予防条例です。
 
 とても読みづらい法律ですが、いざというときに知らなかったでは許されません。
 正しく理解し、法令違反とならないようにしましょう。

消防法第17条関係(消防用設備)

 消防法第17条第1項の規定により、一定規模以上の防火対象物(事業所等)には、消防用設備の設置が義務となっており、また、消防法第17条の3の3の規定により、設置したならば定期的に点検を行い、消防署へ報告しなければなりません。

■主な消防用設備の設置義務例(消防法施行令より抜粋)

〇消火器

・病院、就寝を伴う高齢者又は社会福祉施設
 →面積要件なし

・飲食店、物品販売店舗、ホテル、医院、工場、倉庫
 →延べ面積150㎡以上

・学校、図書館、事務所等
 →延べ面積300㎡以上

〇自動火災報知設備

・ホテル、病院、就寝を伴う高齢者又は社会福祉施設
 →面積要件なし

・飲食店、物品販売店舗、医院等
 →延べ面積300㎡以上

・学校、図書館、工場、倉庫等
 →延べ面積500㎡以上

・寺院、事務所等
 →延べ面積1000㎡以上

〇誘導灯又は誘導標識

 原則、すべての防火対象物に面積要件なく設置。(緩和措置あり)

■点検種別及び周期(消防庁告示より抜粋)

・総合点検 1年に1回 
 →構造、機能について総合的に点検を行う。

・機器点検 6か月に1回  
 →総合点検に準じた点検を行う。

■報告周期(消防法施行規則より抜粋)

・不特定多数の者を収容する防火対象物
 →1年に1回

・特定の者を収容する防火対象物
 →3年に1回

消防法第8条関係(防火管理)

 消防法第8条第1項に規定により、一定規模以上の防火対象物(事業所等)には、管理権原者が防火管理者を選任し、防火の管理にあたらせなければなりません。また、防火管理者は、選任されたならば当該事業所の実情に則した消防計画書を作成し、収容人員の管理、消防用設備の維持管理、消防訓練の実施等に努めなければなりません。

■防火管理者の選任が必要な防火対象物(消防法施行令より抜粋)

・不特定多数の者を収容する防火対象物
 →収容人員30人以上(従業員等を含む)

・特定の者を収容する防火対象物
 →収容人員50人以上(従業員等を含む)

■消防訓練の実施周期(消防法施行規則より抜粋)

・不特定多数の者を収容する防火対象物
 →1年に2回以上

・特定の者を収容する防火対象物
 →定期的に(1年に1回以上が求められる)

火災予防条例

 各市町村には防火のために火災予防条例が定められており、その内容は、火の取り扱いに関すること、火を使用する設備の設置及び取り扱いに関すること、電気を使用する設備の設置及び取り扱いに関すること、石油等の危険物類を使用する設備の設置及び貯蔵取り扱いに関することなどについてルールが定められています。
 一般住宅防火についても触れられており、住宅用火災警報器についても根拠は火災予防条例に示されています。